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コラム・事例

2024.07.10

相続人が遠方・音信不通になってしまっている

相続人の1人(例えば、遠い親戚)と付き合いがなく、どこに住んでいるかもわからない場合があります。
あるいは、住所や連絡先は知っているけど、連絡をほとんどしない相続人に対してはどうすれば良いでしょうか?
今回は、相続人が音信不通で連絡が取れないときの対応方法について詳しく解説します。

目次

相続人の一人が音信不通のとき、遺産分割協議はどうすればいいの?

遺産分割協議を行うためには、原則として音信不通の相続人も捜す必要があります。

まずは戸籍謄本と戸籍の附票を取得し、住所を調査します。
戸籍謄本を見慣れていない一般の方には、見方もよくわからないはずです。戸籍謄本取得については、司法書士などの専門家に依頼することで、素早く確実に行うことができます。
戸籍の附票とは、戸籍に附属されたもので、戸籍が作られてから現在までの住所が記録されています。なお、戸籍の附票は、戸籍と一緒に本籍地の役所で保管されています。
戸籍の附票はほとんど取る機会がないため、一般の人は取り方もわからないことがあるでしょう。速やかに相続手続きを終わらせるために、こちらも専門家に依頼するのがおすすめです。

もし、遺言書があれば、音信不通の相続人に連絡を取らなくても良い場合もあります。
遺言書が残されていない場合には、原則として相続手続に際し、遺産分割協議が必要になります。
遺産分割協議に、相続人の一人でも欠けていると、その遺産分割協議が無効となってしまいます。

ですので、音信不通の相続人がいても、遺産分割協議を行うために、必ず相続人を捜す必要があります。
相続人が見つかったら、まずは遺産分割協議に参加してもらうよう依頼をしなければなりません。

相続人の一人が非協力的なときはどうすれば良いの?

相続人が非協力的で、遺産分割協議に参加してくれなかったり、連絡を無視されたりする場合もあります。
例えば、兄弟が不仲だったり、両親との関係が悪かったりすると、相続そのものに関わりたくない!と思う相続人も多いのが現状です。
ともすると、遺産分割を放置し、他の相続人を困らせたい、と意地悪をする相続人がいる場合もあります。
一度も会ったことがない親族からの連絡ならば、なおさら問題が起こりそうです。

そこで、相続人が連絡を無視する場合や連絡しても協力してくれない場合には、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てて解決することができます。
遺産分割調停は、相続人の1人または数人が申立人となり、非協力的な相続人を相手方とし、原則として相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所に申立てします。
申立ての際には、申立書のほか、相続関係がわかる戸籍謄本が必要です。

しかし、遺産分割調停を申し立てても、相続人が裁判所に来ないこともあります。
このような場合には、遺産分割審判に移行し、最終的には裁判所の判断で遺産分割方法を指定することになります。

その他、不在者財産管理者選任申立・失踪宣告申立について

もし、相続人が調べた住所に住んでいない場合は、どのようにすればよいでしょうか?

この場合、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立を行うか、相続人が7年以上行方不明の状態にあれば家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることができます。
戸籍謄本や戸籍の附票を取り寄せて相続人調査をすれば、相続人の住民票上の住所が判明します。
しかし、何らかの理由で相続人が住民票上の住所に住んでいない場合や、当人が行方不明という場合もあるでしょう。

何度も言いますが、行方不明の相続人を除外した遺産分割協議は無効です。
遺産分割協議をするために、行方不明の相続人の代理人(例えば、不在者財産管理人)を立てなければなりません。
また、行方不明の期間が長く、亡くなっている可能性が高い場合には、失踪宣告を出してもらう方法もあります。

不在者財産管理者選任の申立てについては、行方不明者の住所地の家庭裁判所に、不在者財産管理人の選任申立てをする必要があります。
申立ての際には、申立書の他、不在者の戸籍謄本及び戸籍の附票、不在の事実を証する資料、不在者の財産に関する資料などを提出します。
不在者財産管理人には、一般には、司法書士や弁護士が選任される場合が多いです。
候補者を指定して申立てすることも可能ですが、最終的には家庭裁判所の判断となります。

失踪宣告の申立てについては、親族などの利害関係人が、行方不明者の住所地の家庭裁判所に申し立てします。
申立後、適宜調査が行われた後、官報や裁判所の掲示板で行方不明者や存在を知っている人に届出するよう催告が行われ、失踪宣告が出されます。
失踪宣告とは、一定期間、行方不明の人について、当人を「法律上」死亡したものとみなす制度です。
失踪宣告には、普通失踪と特別失踪(危難失踪)の2種類あります。
普通失踪とは、7年間、行方不明の状態が続けば失踪宣告が受けられます。
特別失踪とは、戦争、船舶の沈没、震災などに遭遇した場合で、危難が去った後1年経過すると失踪宣告を受けることができます。

失踪宣告が出されたら、普通失踪では行方不明になって7年を経過した時点、特別失踪では危難が去った時点で死亡したものとして相続手続きを進めることになります。
もし万が一、失踪宣告が出された後、行方不明者が生きていた場合には、家庭裁判所は本人や利害関係人の請求にもとづき、失踪宣告を取り消すことができます。

相続人の中に連絡が取れない人がいる場合や、不在者財産管理人などの手続きには手間とお金がかかるため、そのまま放置してしまうことが多々あります。
しかし、遺産分割をしないまま放置してしまうと、様々な不利益を被ることがあります

遺産分割をしないで放置した場合はどうなる?

1.相続登記の義務化に反する

令和6年4月より、相続の開始及び相続により不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請手続きをおこなうことが義務化されました。
手続きを行わないと、10万円以下の過料が科せられることになり注意が必要です。

※参考:法務省「相続登記の申請義務化特設ページ」

2.不動産を売却できない

亡くなった人(=被相続人)が所有していた不動産は、遺産分割が終わるまで相続人全員の共有状態になります。
共有の不動産を売却する場合、共有者全員が合意しなければなりません。
しかし、遺産分割協議行方不明の相続人について不在者財産管理人選任や失踪宣告の手続きしないまま放置していると、不動産を売却できないことになります。
不動産を所有している限り固定資産税はかかるため、負担ばかりが続いてしまいます。

3.相続税申告でも不利益がある

相続税が課税されるケースでは、相続開始を知った時から10か月以内に相続税の申告が必要です。

※参考:国税庁「相続税の税率」

もし、相続人の中に行方不明者がいて遺産分割が終わっていない場合には、法定相続人が法定相続分で相続したものと仮定して申告しなければなりません。
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった相続税を軽減するための特例が受けられないというデメリットも発生する場合があります。

まとめ

相続人に連絡が取れないときは司法書士など専門家に相談する

司法書士に依頼すれば、音信不通の相続人の住所の調査から連絡、その他家庭裁判所への各種申立てなどにも対応することができます。

相続人が音信不通で連絡が取れないケースや、非協力的な相続人がいるケースでは、早期の段階で、司法書士などの専門家に依頼するのが安心です。

相続手続きは、ただでさえ手間がかかりますが、普段連絡がない相続人とも話をしなければならないことがあり、精神的な負担もあります。

専門家に相続手続きを一任すれば、相続手続きの負担を減らすことができます。専門家には、各種のアドバイスが受けられるほか、非協力的な親族への対応を任せることも可能です。

ただし、相続手続きを専門家に依頼した場合には、報酬が発生します。報酬は、依頼する手続きの内容や財産の額によって変わるため10~50万円以上かかるケースもあります。

相続手続きの際の戸籍謄本等の取り寄せや行方不明者がいる場合の対応は、無理せず専門家に任せるのが安心です。

ぜひ田仲司法書士行政書士法務事務所をご利用ください。

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