2024.07.10
相続人が認知症を患っている場合、相続手続きが一層複雑になりますが、高齢化が進む日本ではごく身近な事例になりつつあります。
しかし、認知症の相続人が関わる際の、具体的な注意点や適切な対応方法を理解しておくことは、トラブルを未然に防ぐために非常に重要です。
そこで本記事では、認知症の相続人がいる場合の相続手続きを円滑に進めるためのポイントを詳しく解説します。ご家族の大切な財産を守り、安心して相続手続きを進めるための参考にしていただければ幸いです。
相続は亡くなった方(被相続人)の遺産を、法定相続人に分配する一連の手続きであり、大きく3つのステップに分けられます。これらのステップを適切に進めることで、スムーズな相続手続きを行うことができます。
相続手続きの第一歩は、相続財産と相続人を確認することです。
相続財産には「不動産、現金、預貯金、株式、債券、車両」など様々なものが含まれます。これらの財産をすべてリストアップし、正確に把握することが重要です。
また、相続人は相続順位や相続分は法律で定められており、相続人の範囲も確認する必要があります。
遺産分割協議が成立したら実際に相続財産を分けるため「不動産の名義変更や、預貯金の解約・分配」など、具体的な手続きを行います。この際、必要な書類や手続きの詳細については、相続財産ごとに異なるため、専門家のサポートを受けることをお勧めします。
認知症の相続人がいる場合、通常の遺産分割協議が困難になることがあります。認知症の進行具合によっては、意思能力が低下し、正確な意思表示ができないため、遺産分割協議書に署名・押印することが難しくなるためです。このようなケースでは、遺産分割協議が成立しないため、相続手続きが停滞してしまいます。
認知症の相続人がいる場合、以下のような問題が生じることがあります。
遺産分割協議ができない場合には、法定相続分どおりに相続するしかないため、相続税の節税対策を考えた遺産分割ができません。通常であれば相続人間で話し合って、配偶者控除など税金控除枠を最大限使って節税することも可能ですが、これができないのは大きなリスクと言えます。
遺産分割協議ができない場合、不動産のように分割できない財産は、法定相続分に基づいて分けるため共有名義になります。
共有名義の不動産は、売却や活用の際に全員の同意が必要であり、手続きが煩雑になるため、迅速な資産運用が困難になります。
認知症の相続人は、自らの意思で手続きを行うことができないため、相続放棄が認められないことがあります。この場合、不要な負債を引き継いでしまうリスクがあり、十分に注意が必要です。
認知症の相続人がいる場合、銀行口座の解約や預貯金の払い戻しが難しくなります。銀行は法律にそった手続きを求めるため、認知症の相続人が手続きを行えない場合、必要な資金が引き出せず、相続手続き全体に支障が出ることがあります。
認知症の相続人の代わりに遺産分割協議書に署名・押印することは、法律上認められていません。代筆は無効となり、罰則が科されることもありますので、十分にご注意ください。
認知症の相続人がいる場合、成年後見制度を利用すれば、遺産分割協議など相続をスムーズに行うことが可能です。
成年後見制度は、判断能力が不十分な方に代わって法的手続きを行うための制度であり、家庭裁判所が成年後見人を選任します。成年後見人は、相続手続きを含む様々な法的手続きを代行し、相続人の権利を守ります。
成年後見制度を利用する際には、以下の手順を踏むことになります。
参考:裁判所「申立てをお考えの方へ(成年後見・保佐・補助)」
まず、家庭裁判所に成年後見の申立てを行います。申立ては、相続人や親族などが行え、診断書や財産目録などの必要書類を提出する必要があります。
家庭裁判所は、申立て内容を審査し、適任者を成年後見人として選任します。成年後見人は、認知症の相続人の利益を最優先に考え、適切な相続手続きを進めます。
成年後見人が選任されると、遺産分割協議や不動産の名義変更、預貯金の払い戻しなど、相続手続き全般を代行します。これにより、認知症の相続人が関わる相続手続きが円滑に進められます。
相続手続きや成年後見制度の利用には、専門的な知識と経験が求められます。司法書士は、相続手続き全般や成年後見制度の利用について豊富な知識と経験を持っており、お客様の状況に応じた最適なアドバイスとサポートを提供します。
認知症の相続人がいる場合の相続手続きは、複雑で煩雑な手続きが伴うため、専門家のサポートを受けることが重要です。司法書士は、相続人の権利を守り、スムーズな相続手続きを実現するための心強いパートナーとなります。
弊社はこれまでに100件以上の成年後見手続の支援を行っておりますので、豊富な知識と実績に基づき、より専門性の高い業務をご提供致します。相続や成年後見制度についてお困りの際は、ぜひ「田仲司法書士行政書士法務事務所」にご相談ください。
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